1945年9月、岡山市生まれ。
物理学を愛する父の影響を強く受け、幼少の頃より造形に深い興味を持つ。
1966年ノートルダム清心女子大学在学中に、陶芸と初めて出会う。
窯の中で、炎にまかれながらビードロのように変化していく土の姿に衝撃を受ける。
が、当時は職業としての陶芸の選択など思いもよらず、卒業後はインテリア関係の職に就く。
結婚、三児の子育ての中で、再び陶芸に向き合うチャンスを得、倉敷愛美工房にて
学び始める。自由に土と遊ぶことのできる指導スタイルであった教室の中で、
陶芸にのめり込んでいく。
その後、プライベートでは十数年の結婚生活に自らピリオドを打ち、子供を抱え、
何もない一からのスタートを切る。
初めての「自立」を迫られ、生活に追われる日々の中で、それでも自分を失わず
生きていくことができたのは、どんな時でも土と共に生きていきたいという信念があったこそ。
日々の重圧、そして死を覚悟する病気を経験し、この時初めて
「これから先、生きていけるのなら」
職業として、陶芸を選びたい、と熱い想いが胸の奥から湧き上がってきた。
1986年、今は亡き母が、自給自足の生活を送るためにと岡山市郊外の飽浦に購入した
土地の片隅に、『あくら工房』を構える。
ここで陶芸教室を主宰する傍ら、本格的な作陶に没頭する日々を送り、公募展に出展。
1993年、自身初の個展を、自宅敷地内にて開催。
以来現在に至るまで、毎年4月に
山懐の、自然に恵まれた野外でのインスタレーション、
自宅・工房内での展示スタイルを続けている。
1997年『開闢』にて、女流陶芸大賞を受賞。
続いて1999年には『漂流』にて。女流陶芸展において最高賞である文部大臣賞を受賞。
2000年より、空間のデザインを意識し始め、
モニュメント製作や、陶壁の製作に新境地を見出す。
2002年に、海外で初となるニューヨークでの個展。翌年も渡米し2度目の個展。
さらに2004年ワシントン日本大使館内ギャラリーでの個展を開催し、好評を博す。
レセプションでのスピーチでは、スタンディングオベーションが起こったほどである。
2008年にはイギリスへとつながり、庭園デザインの博覧会「チェルシーフラワーショー」で
日本人デザイナーとのコラボレーション作品が出品された。
同9月には、ロンドンの日本大使館内ギャラリーで、個展を開催。
海外での個展経験で学んだことのひとつは、人間は何歳になっても新しい挑戦ができ、
美しく年を重ねていくことができるのだということ。
今後は今まで以上に、枠にとらわれることなく、より広い空間の中において、
土を核にした自由な表現をしていきたいと思っている。
プライベートで2008年よりチェロを習い始める。
この、音楽との係わりが、作品にも素晴らしいインスピレーションと深みを与えてくれて、
近年ますます、自由闊達な活動を始めているところである。
白石正子(アース&アーツスタジオ)
〒702-8013 岡山県岡山市南区飽浦667-1
電話:086-267-3110 メールアドレス:shiraishi_art@ybb.ne.jp